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2020年10月10日

症例52 肩が痛くて眠れない男性

症例


こんにちは!要鍼灸院の藤森です。





今回は「五十肩」で肩が痛くて眠れない、動かすと痛みがあるという方の症例です。





患者様について





I様 50代 男性 自営業





主訴:左肩を上にあげると痛い(特に横から)、夜中に疼いて眠れない(日中に疼くこともある)、寝返りで目が覚める。













症状の経過





来院される3ヶ月前より徐々に肩が痛くなり、次第に夜も眠れないほどの痛みになり我慢できなくなり治療を始めることになりました。





西洋医学的見解





可動域制限がある…左肩の前方挙上(腕を前から上にあげていく動作)が150°で、側方挙上(横から上に上げていく動作)80°でそれぞれ痛みが出ました。正常であれば両方とも180°まで痛み無く上がります。





夜間痛がある…肩周りの筋肉やその他の軟部組織(靭帯や関節包)などが損傷して炎症が起きているため患部が腫れてうずいているという状態でした。





これら2つは「五十肩」の典型的な症状です。





「五十肩」とは…





肩まわりの筋肉や腱、関節包(関節のクッション)などが長年の使い方や加齢によって疲労し硬くなり痛めてしまい発症すると一般的には言われています。ただ西洋医学的には詳しい原因、発生機序などはわかっていません。





五十肩は治るまでに非常に時間がかかることで有名な疾患です。





治るまでには3つの期間をたどります。





1.炎症期…可動域(動き)の制限がかかり始め、動かすとかなりの痛みがあります。同時に夜間の痛みであまり眠れなくなります。





2.拘縮期…動作の痛みは軽減し、夜間の痛みもほとんどなくなります。しかし可動域制限がさらに強くなり、そんなに痛いわけではないけど動かないという状態になります。





3.回復期…可動域制限がだんだん軽減し、徐々にもとの動作ができるようになってきます。





ただ、この3つの期間を終えるには自然治癒で約1年~長くて2年(炎症期は3ヶ月以上、拘縮期は3ケ月~半年以上、回復期は半年から1年)といわれています。鍼灸の役割は自然治癒力の向上です。鍼灸を行うことでだいたい2倍速でこの期間を終えられることが多いです。





東洋医学的見解





脈は左が柔らかく丸く、右が柔らかく細い脈。肝臓に入る血液量の減少を表す脈もでていました。





舌は淡いピンクで白い苔があり、腫れぼったい、舌の周りに歯型があるという状態でした。





この場合、柔らかい脈、舌の淡いピンク色、歯型は胃腸の働きが低下していることを示します。





丸い脈や舌の白い苔や腫れぼったい感じは胃腸の働きの低下により栄養や水分の消化吸収が遅くなり停滞している状態を示します。





腸は栄養や水分の吸収を行います。吸収された栄養や水分は血液と混じり肝臓を通って全身に運ばれます。腸での吸収が悪くなると肝臓に入る栄養や水分を含んだ血液が少なくなります。そのため、肝臓に入る血液量が減った脈がでていました。





東洋医学で肝臓は筋肉と深い関わりがあり、肝臓に入る血液量が減ると筋肉が硬くなりやすいとされています。





また筋肉が硬くなる要因として筋肉への栄養に富んだ血液供給不足があります。筋肉は柔らかさを保つ為に常に、血液中の栄養をもとに、古くて硬い筋肉を新しいくて柔らかい筋肉に更新しています。血液中の栄養が減るとこの筋肉を置き換えるサイクルが遅くなりだんだん硬くなりやすくなります。結果、痛めやすい状態になっていました。





治療方針





まずは夜間痛を抑え、炎症期を早期に脱出することを第一目標にしました。





そのためには筋肉が傷つき炎症をおこしている部分の修復が必要になります。修復のために筋肉の栄養状態を調え回復できるように働きかけていきます。





炎症期のあとは可動域制限がメインの症状となりますので、筋肉の回復をうながしつつ硬さもとっていくという方向性になりました。





おもに使ったツボは…





身体を温め胃腸の消化吸収を高める…かかとの内側にあるツボ





肝臓の血量を増やし筋肉が回復しやすい状況を作る…膝の内側のツボ





肩関節で滞っている血液の流れをよくする…肩の付け根のツボ





以上を使って治療を進めました。





経過





1週間に1回の頻度で治療を開始しました。通常はよくなっていくと治療間隔をあけていきますが、今回はご本人の希望で少しでも早く回復するために1週間に1回のペースで最後まで続けました。





1週目~5週目…夜間の痛みが強く2時間おきに目が覚める。挙上時の痛みは治療当初は前方挙上150°、側方挙上80°で痛みがありましたがこれは5週目には少し向上し前方175°、側方85°程度になりました。





6~9週目…夜間の痛みが落ち着き始めました。動作時の痛みは9週目には前方挙上175°、側方挙上100°まで挙げれるようになりました。





このあたりになると通常の五十肩は拘縮期という固まって動かなくなるという期間に入ります。しかしこちらの症例では拘縮期があまり見当たらず、徐々に可動域が回復しています。





10~11週目…夜間痛がほぼ消失。それに伴い自宅でできる肩のストレッチを指導。可動域も前方挙上175°、側方挙上120°と向上。





12~13週目…可動域がかなり向上して前方180°、側方145°まで挙げれるようになりました。





14~15週目…順調に可動域が向上し前方180°、側方160°まで回復しました。





16~20週目…その後も週を追うごとに回復が進み20週目には可動域が前方挙上180°、側方挙上175°とほぼ正常値になりました。残りはご自身でのストレッチで十分回復可能と判断して治療は卒業となりました。





施術者の思い





今回のケースは通常の五十肩と比べて、最初の炎症期の症状は通常と同じですが、拘縮期においては明確にその期間が見当たらないという珍しい症例でした。





通常の五十肩は治りきるまで最低でも半年はかかりますが、今回のケースは5カ月と少し予定より早めの回復ができました。





五十肩はなにもしないで放置していると完治まで非常に時間のかかる疾患です。ですが、治療でサポートさせていただくことでその苦しい時間をかなり短縮することができます。


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